Luvantix | Inorganic Clad SH Series
高出力向けの耐熱クラッド材「SH樹脂」
SH樹脂は、PC樹脂の特性はそのままに、高温・高湿の環境での信頼性を高めた低屈折率のクラッド材・コーティング材です。フッ素シリコーンの骨格により200℃まで安定して使え、高出力のファイバーレーザーに使われています。
- 屈折率 1.370〜1.548
- 200℃まで安定
- 分解温度 350℃以上
- PFOA・PFOSフリー
【確認用の下書き】黄色の箇所は、メーカーへの確認が必要な箇所です(公開前に外します)。数値は Luvantix社 総合カタログ(2026年9月版)にもとづきます。
SH樹脂とは
SH樹脂は、光ファイバーのクラッド材(光の通り道を外側から包む、屈折率の低い層)や、低屈折率のコーティング材として使う、UV硬化型の樹脂です。メーカーのLuvantix社では「無機クラッド(Inorganic Clad)」と呼んでいます。
一般的な低屈折率樹脂は、炭素を骨格にした有機系の材料です。SH樹脂は、ケイ素と酸素がつながった、無機系に近いフッ素シリコーンを骨格にしているため、熱に強く、高温でも色や光の通しやすさが変わりにくいのが特長です。2015年に特許を取得して発売されました。
光ファイバーのコアとクラッド、屈折率のしくみについては、PC樹脂のページで解説しています。
高出力のファイバーレーザーで耐熱性が必要な理由
ファイバーレーザーは、金属の切断や溶接などに使われ、年々出力が上がっています。出力が上がるほど、クラッドを伝わる光の一部が熱に変わり、外側を包む樹脂の温度も上がります。
樹脂が熱で黄色く変色したり劣化したりすると、光を吸収してさらに発熱しやすくなり、ファイバーの寿命や信頼性に影響します。高出力のファイバーやクラッドライトストリッパーには、高温でも変色しにくく、屈折率が安定したクラッド材が求められます。
メーカーの試験では、従来の低屈折率樹脂(PC-APシリーズ)が200℃で大きく黄変したのに対し、SH-HTシリーズは200℃に3時間置いても、色や光の透過率が変わりませんでした。
SH樹脂の特長
POINT 1
200℃まで安定
フッ素シリコーンの骨格により、200℃まで安定して使えます。200℃に3時間置いても、色や光の透過率が変わりません。
POINT 2
分解温度350℃以上
熱で分解しはじめる温度(Td)は350℃以上。高出力の用途でも余裕をもって使えます。
POINT 3
石英によく密着する
石英ガラスへの密着性が高く、85℃・85%RHで2,000時間の試験に合格しています。
POINT 4
屈折率を選べる
硬化後の屈折率は1.370〜1.548(950nm)。クラッド用から、ライトストリッパー用まで選べます。
POINT 5
UVで硬化
UV(紫外線)を当てて固めるため、光ファイバーの線引き工程やリコートで使いやすい材料です。
POINT 6
環境規制に対応
PFOA・PFOSを含まず、RoHS指令・REACH規則(SVHC 240物質)に対応しています。
主な用途
高出力のダブルクラッドファイバー・ハードクラッドファイバー
高出力のファイバーレーザーに使うダブルクラッドファイバー(DCF)や、ハードクラッドファイバー(HCF)の、外側のクラッド材として使われます(SH-HTシリーズ)。

高出力のクラッドライトストリッパー
コアに入りきらずにクラッドを伝わる不要な光を、外へ逃がす部品です。光を逃がす部分は熱を持ちやすいため、耐熱性の高いSH-MSシリーズが使われます。

低屈折率のコーティング
光ファイバー以外にも、熱がかかる部品の表面に、屈折率の低い層をつくるコーティング材としてご相談いただけます。
製品一覧
SH-HTシリーズ(高出力ファイバー用クラッド)
| 品番 | 用途 | 粘度(mPa·s) | 屈折率(硬化後・950nm) | 割線弾性率(MPa) | 硬度(ショア) |
|---|---|---|---|---|---|
| SH-370HT | DCF・HCF | 3,500 | 1.370 | 46 | 50D |
| SH-373HT | DCF・HCF | 3,500 | 1.373 | 70 | 60D |
| SH-380HT | DCF・HCF | 3,500 | 1.380 | 80 | 55D |
| SH-393HT | DCF・HCF | 3,500 | 1.393 | 340 | 70D |
| SH-437HT | DCF・HCF | 1,600 | 1.437 | 500 | 80D |
| SH-440HT | DCF・HCF | 3,300 | 1.440 | 500 | 80D |
| SH-493HT | DCF・HCF | 150 | 1.493 | 500 | 80D |
| SH-515HT | DCF・HCF | 2,900 | 1.515 | — | 40D |
| SH-525HT | DCF・HCF | 50 | 1.525 | — | 80D |
| SH-548HT | DCF・HCF | 2,900 | 1.548 | — | 80D |
SH-MSシリーズ(高出力ライトストリッパー用)
- 屈折率を精密に管理し、安定して光を逃がせる
- アルミブロックへの密着性が高く、85℃・85%RHで1,000時間の試験に合格
| 品番 | 用途 | 粘度(mPa·s) | 屈折率(硬化後・950nm) |
|---|---|---|---|
| SH-420MH | ライトストリッパー | 1,000 | 1.420 |
| SH-450MH | ライトストリッパー | 1,000 | 1.450 |
| SH-461MH | ライトストリッパー | 1,000 | 1.461 |
| SH-465MH | ライトストリッパー | 1,000 | 1.465 |
| SH-470MH | ライトストリッパー | 1,000 | 1.470 |
DCF:ダブルクラッドファイバー HCF:ハードクラッドファイバー
SH樹脂は総合カタログ(2026年9月版)に表がないため、メーカーサイトの数値(屈折率は950nmで測定)を掲載しています。
PC樹脂との使い分け
| SH樹脂 | PC樹脂 | |
|---|---|---|
| 主な成分 | フッ素シリコーン(無機系の骨格) | フッ素系アクリレート・シルセスキオキサン |
| 耐熱性 | 200℃まで安定。分解温度350℃以上 | 一般的なファイバー・リコート向け |
| 屈折率の範囲 | 1.370〜1.548(950nm) | 1.330〜1.456(589nm) |
| 主な用途 | 高出力ファイバーレーザーのDCF・HCF、高出力ライトストリッパー | DCF・HCFのクラッド、融着部のリコート、ライトストリッパー |
Luvantix社と大倉ケミテックについて
Luvantix ADM(本社:韓国・大田)は、低屈折率のUV硬化樹脂を専門とするメーカーです。1997年に英国サウサンプトン大学の光エレクトロニクス研究センターとともに、低屈折率のUV硬化樹脂を世界で初めて実用化しました。屈折率1.32まで下げたUV硬化樹脂をはじめ、30年以上にわたって光ファイバーや光学部品向けの材料を開発しています。低屈折率のUV硬化樹脂に関する特許は12件。ISO9001・ISO14001・ISO13485を取得しています。
大倉ケミテックは、Luvantix社の日本の窓口(Luvantix Japan)として、製品のご紹介、サンプル、お見積り、技術的なご相談を承っています。