Luvantix | Polymer Clad PC Series
光ファイバー用のクラッド材「PC樹脂」
PC樹脂は、光ファイバーのクラッド材(光の通り道を外側から包む層)に使う、UV硬化型の低屈折率樹脂です。硬化後の屈折率は1.330〜1.456。ファイバーレーザー用のダブルクラッドファイバーや、融着した部分のリコート(被覆のやり直し)に使われています。
- 屈折率 1.330〜1.456
- UV硬化型
- 近紫外〜近赤外の透過率93%以上
- PFOA・PFOSフリー
【確認用の下書き】黄色の箇所は、メーカーへの確認が必要な箇所です(公開前に外します)。数値は Luvantix社 総合カタログ(2026年9月版)にもとづきます。
このページの内容
クラッド材とは?光ファイバーのコアとクラッドのしくみ
光ファイバーは、光が通る中心の「コア」と、そのまわりを包む「クラッド」でできています。クラッドには、コアよりも屈折率の低い材料を使います。この外側の層の材料が「クラッド材」です。
図:光ファイバーの断面(長さ方向)。光はコアとクラッドの境界で全反射をくり返しながら進みます。
屈折率とは
屈折率とは、光が物質の中を進むときの「曲がりやすさ」を表す数値です。真空を1として、空気はほぼ1.00、光ファイバーに使われる石英ガラスは約1.45です。
屈折率の高い物質から低い物質へ光が進むとき、境界に浅い角度で当たった光は外へ出ずに、すべてはね返ります。これを「全反射」といいます。光ファイバーは、この全反射をくり返すことで、光をコアの中に閉じ込めたまま遠くまで運びます。そのため、クラッド材には「コアより屈折率が低いこと」が欠かせません。PC樹脂は、この屈折率の低さをUV硬化樹脂で実現した材料です。
ダブルクラッドファイバーでの役割
ファイバーレーザーに使われるダブルクラッドファイバーは、レーザー光が通る「コア」、励起光(ポンプ光)を通す「内側のクラッド(石英ガラス)」、その外側の「外側のクラッド」の3層でできています。
PC樹脂は、この外側のクラッドに使われます。石英ガラスより屈折率の低い樹脂で包むことで、励起光を内側のクラッドに閉じ込め、コアへ効率よく送り込めます。

PC樹脂の特長
POINT 1
屈折率を選べる
硬化後の屈折率は1.330〜1.456。必要な開口数(NA)に合わせて選べます。任意の屈折率の調整・開発もご相談ください。
POINT 2
光をよく通す
フッ素系アクリレートとシルセスキオキサンの技術により、近紫外〜可視〜近赤外の範囲で93%以上の透過率があります。
POINT 3
石英によく密着する
石英ガラスへの密着性が高く、85℃・85%RHで2,000時間の試験に合格。長く過酷な環境でも安定して使えます。
POINT 4
線引き工程に対応
光ファイバーを細く引き伸ばす「線引き」の工程で、そのままコーティングできるよう最適化されています。
POINT 5
高温高湿に強い品も
PC-NPシリーズは、プレッシャークッカー試験(125℃・2.0気圧・72時間)に合格しています。
POINT 6
環境規制に対応
PFOA・PFOSを含まず、RoHS指令・REACH規則(SVHC 240物質)に対応しています。
主な用途
ダブルクラッドファイバー・ハードクラッドファイバーのクラッド
ファイバーレーザーやファイバーアンプに使うダブルクラッドファイバー(DCF)、石英のコアを樹脂のクラッドで包んだハードクラッドファイバー(HCF)の、クラッド材として使われます。
融着した部分のリコート(被覆のやり直し)
光ファイバー同士を融着接続するときは、つなぐ部分の被覆をはがします。接続したあと、はがした部分を低屈折率の樹脂で覆い直すのが「リコート」です。型(モールド)に入れてUVで固めることで、元のファイバーと同じ太さに仕上げます。
クラッドの役割を持つ部分をリコートするため、元のクラッドと同じように屈折率の低い樹脂が必要です。

クラッドライトストリッパー
ファイバーレーザーでは、コアに入りきらなかった光がクラッドを伝わって進み、部品を傷める原因になります。この不要な光を外に逃がす部品が「クラッドライトストリッパー」です。
屈折率を細かく調整した樹脂を、屈折率の順に段階的に使うことで、光を少しずつ逃がし、熱が一か所に集中しないようにします。この用途には、屈折率を精密に管理したPC-MS/MSHシリーズが使われます。

製品一覧
PC-NPシリーズ(線引き用・高信頼性)
- ダブルクラッドファイバー・ハードクラッドファイバーの線引き用に最適化
- プレッシャークッカー試験(125℃・2.0気圧・72時間)に合格
- 石英への密着性が高く、85℃・85%RHで2,000時間の試験に合格
| 品番 | 用途 | 屈折率(硬化後・589nm) | 割線弾性率(MPa) |
|---|---|---|---|
| PC-330NP | DCF・HCF | 1.330 | 5 |
| PC-340NP | DCF・HCF | 1.343 | 30 |
| PC-363NP | DCF・HCF | 1.363 | 120 |
| PC-368NP | DCF・HCF | 1.368 | 156 |
| PC-370NP | DCF・HCF | 1.370 | 156 |
| PC-373NP | DCF・HCF | 1.378 | 180 |
| PC-404NP | DCF・HCF | 1.404 | 300 |
| PC-414NP | DCF・HCF | 1.414 | 580 |
| PC-452NP | DCF・HCF | 1.452 | — |
DCF:ダブルクラッドファイバー HCF:ハードクラッドファイバー
PC-HAシリーズ(線引き・リコート用)
- 光ファイバーの線引き工程に最適化。ダブルクラッドファイバー・ハードクラッドファイバーで広く使われています
- 石英への密着性が高く、85℃・85%RHで2,000時間の試験に合格
| 品番 | 用途 | 特長 | 屈折率(硬化後・589nm) | 割線弾性率(MPa) |
|---|---|---|---|---|
| PC-340HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.344 | 14 |
| PC-363HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.365 | 44 |
| PC-370HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.372 | 120 |
| PC-373HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.375 | 125 |
| PC-375HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.391 | 266 |
| PC-398HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.402 | 300 |
| PC-404HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.408 | 525 |
| PC-452HA | DCF・HCF | 低屈折率・リコート | 1.456 | 609 |
PC-HAシリーズはカタログにのみ記載があり、メーカーサイトには掲載がありません(取り扱いを確認中)。
PC-MS/MSHシリーズ(クラッドライトストリッパー用)
- カスケード型・シンプル型のクラッドライトストリッパーのリコート用。粘度が低く扱いやすい
- 硬化後の屈折率を精密に管理し、安定して光を逃がせる
- アルミブロックへの密着性が高く、85℃・85%RHで1,000時間の試験に合格
| 品番 | 用途 | 粘度(mPa·s) | 屈折率(硬化後・589nm) |
|---|---|---|---|
| PC-420MS | ライトストリッパー | 250 | 1.420 |
| PC-420MH | ライトストリッパー | 1,090 | 1.420 |
| PC-461MS | ライトストリッパー | 160 | 1.461 |
| PC-461MH | ライトストリッパー | 1,100 | 1.461 |
| PC-465MS | ライトストリッパー | 230 | 1.465 |
| PC-465MH | ライトストリッパー | 1,100 | 1.465 |
| PC-470MS | ライトストリッパー | 180 | 1.470 |
| PC-470MH | ライトストリッパー | 1,100 | 1.470 |
数値は Luvantix社 総合カタログ(2026年9月版)の代表値です。メーカーサイトでは950nmで測った屈折率が掲載されており、品番の並びも一部異なります。任意の屈折率の調整・開発もご相談ください。
光ファイバーの被覆材(LP/LSシリーズ)
光ファイバーは、ガラスを細く引き伸ばす「線引き」の工程で、すぐに樹脂で被覆して、傷や曲げから守ります。内側のやわらかい層を「プライマリ(一次)被覆」、外側のかたい層を「セカンダリ(二次)被覆」といいます。LP/LSシリーズは、この被覆に使うUV硬化型のアクリレート樹脂です。
高速の線引きに対応
業界標準の超高速の線引き工程に対応。微小な曲げによる光の損失(マイクロベンド)を抑えます。
1998年からの実績
85℃・85%RHで5,000時間の試験に合格。1998年から光ファイバー業界で広く使われています。
特殊なファイバーにも
ジャイロ・センサー用の低Tg(低温でもやわらかい)一次被覆や、ZBLANなどのフッ化物ガラス向けの高屈折率品もあります。
光ファイバーセンサー・高温環境向け(LP/LS-HTシリーズ)
光ファイバーは通信だけでなく、圧力・温度・振動・位置などを測る光ファイバーセンサー(FBGセンサなど)にも使われています。プラントや化学設備などの過酷な環境では、被覆にも長く安定した耐熱性が求められます。LP/LS-HTシリーズは、無機アクリレートを骨格にした耐熱被覆材で、200℃を超える連続使用に耐え、200℃で100時間置いても色や光の透過率が変わりません。センサー、防衛・宇宙、高温・高出力の用途に使われています。
LP/LSシリーズ 製品一覧
| 品番 | 種類 | 用途 | 特長 | 粘度(mPa·s) | 屈折率(硬化後・589nm) | 割線弾性率(MPa) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| LP-1635LG | 一次被覆 | 光ファイバー | 低Tg | 3,800 | 1.467 | 2.6 |
| LP-1699UG | 一次被覆 | 光ファイバー | 超低Tg | 5,300 | 1.435 | 5.2 |
| LS-2211 | 二次被覆 | 光ファイバー | 標準Tg | 4,500 | 1.531 | 850 |
| LS-2211HG | 二次被覆 | 光ファイバー | 高Tg | 5,000 | 1.520 | 400 |
| LP-1635HI | 一次被覆 | ZBLAN | 低Tg・高屈折率 | 3,200 | 1.521 | 10 |
| LS-2211HI | 二次被覆 | ZBLAN | 高屈折率 | 3,300 | 1.544 | 1,100 |
| LS-0009 | タイトバッファ | タイトバッファ | 耐熱 | 9,700 | 1.576 | 800 |
| LS-950LD | タイトバッファ | タイトバッファ | 1層コート | 2,700 | 1.494 | 95 |
LP/LS-HTシリーズ(耐熱) 製品一覧
| 品番 | 種類 | 用途 | 粘度(mPa·s) | 屈折率(硬化後・589nm) | 割線弾性率(MPa) |
|---|---|---|---|---|---|
| LP-1711HT | 一次被覆 | センサー・高出力 | 5,300 | 1.435 | 5.2 |
| LS-2311HT | 二次被覆 | センサー・高出力 | 3,000 | 1.440 | 250 |
| LS-2411HT | 二次被覆 | センサー・高出力 | 3,000 | 1.440 | 250 |
| LS-3411HT | 二次被覆 | センサー・高出力 | 2,900 | 1.548 | 150 |
| LS-3511HT | 二次被覆 | センサー・高出力 | 2,900 | 1.548 | 600 |
LP:プライマリ(一次)被覆 LS:セカンダリ(二次)被覆 Tg:ガラス転移温度(これより低い温度で樹脂がかたくなる)
SH樹脂との使い分け
より高い出力や高温の環境で使う場合は、耐熱性を高めたSH樹脂をおすすめしています。
| PC樹脂 | SH樹脂 | |
|---|---|---|
| 主な成分 | フッ素系アクリレート・シルセスキオキサン | フッ素シリコーン(無機系の骨格) |
| 耐熱性 | 一般的なファイバー・リコート向け | 200℃まで安定。分解温度350℃以上 |
| 屈折率の範囲 | 1.330〜1.456(589nm) | 1.370〜1.548(950nm) |
| 主な用途 | DCF・HCFのクラッド、融着部のリコート、ライトストリッパー | 高出力ファイバーレーザーのDCF・HCF、高出力ライトストリッパー |
Luvantix社と大倉ケミテックについて
Luvantix ADM(本社:韓国・大田)は、低屈折率のUV硬化樹脂を専門とするメーカーです。1997年に英国サウサンプトン大学の光エレクトロニクス研究センターとともに、低屈折率のUV硬化樹脂を世界で初めて実用化しました。屈折率1.32まで下げたUV硬化樹脂をはじめ、30年以上にわたって光ファイバーや光学部品向けの材料を開発しています。低屈折率のUV硬化樹脂に関する特許は12件。ISO9001・ISO14001・ISO13485を取得しています。
大倉ケミテックは、Luvantix社の日本の窓口(Luvantix Japan)として、製品のご紹介、サンプル、お見積り、技術的なご相談を承っています。